D 34ページの春題湖上の5列目(NHK 漢詩紀行、監修:石川忠久・著者:牧角悦子)

「碧毯の線頭は 早稻を抽(ひ)き,青羅の裙帶は新蒲を展ぶ。」の部分について。

通釈の中で「見まがう」と言う表現をしているが 正しくは「見えるのは」である。




「春題湖上」、白楽天

                この漢詩の読み


湖上春来似画図       湖上 春来たれば がとに にたり

乱峰囲繞水平舖       らんぽう いじょうして 水たいらかに しく

松排山面千重翠       松は さんめんに はいす せんちょうのみどり

月点波心一顆珠       月は はしんに点ず いっかのたま

碧毯線頭抽早稲       へきたんのせんとうは そうとうをひき

青羅裙帯展新蒲       せいらのくんたいは しんぽを のぶ

未能抛得杭州去       未だ 杭州を なげうち えて さる あたわず

一半勾留是此湖       いっぱん こうりゅうするは これ この湖

 

この漢詩の訳

 

西湖に春が来れば それは まるで絵のように美しい

不揃いにそびえたつ峰々に囲まれて 湖面は 波もなく 平らである。

山の側面には 松が列になって生え、幾重にも緑を重ね

月がさざなみの中心に 一粒の真珠のように映っている。

緑の絨毯の毛先に見えるのは 早稲の発芽した穂先

青いうすぎぬの 裳裾と帯に見えるのは 蒲の新芽の広がりである。

まだ この杭州の地を投げ捨てて 去ることができないのは

とどめている半分(の理由)は (あまりにも美しい)この湖にあるのだ。

 

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*「抽」とは 発芽する事を言います。

*「展」とは 広がる事を言います。

 


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